受験期の睡眠時間はどの位が適当でしょうか?
2013/11/12
受験勉強というと、どうしても予定より長引いてしまい、つい夜更かししてしまいがちです。でも、そうなると睡眠不足となって、翌日の勉強効率が大幅にダウンしてしまうので、厳重に注意しなければなりません。
中学や高校受験、そして大学受験においては、いずれも成長期にあたります。
ですから、この時期に寝不足が慢性的に続いてしまうと、記憶の整理に支障が出るだけではなく、心身の発達に障害が出る危険性があります。
受験勉強で十分な睡眠時間が必要な理由は、不足すると、勉強したことが定着しなくなるからです。たとえ1日8時間とか10時間、あるいは15時間と猛勉強しても、睡眠が不足してたのでは、せっかくの勉強量も水の泡ともなりかねません。
睡眠中には、起きているときに脳にインプットされた情報の取捨選択が行われています。自分にとって必要な情報は海馬でLTPを起こし、長期記憶へと変換されていきます。いっぽうで不要な情報は、海馬から消去するという作業も行われています。
もし受験期間中に睡眠時間が不足してしまうと、不要な情報がいつまでも海馬に残ったり、定着させたい勉強の知識が、なかなか記憶にとどまらなくなります。嫌な記憶や出来事が脳から去らないとストレスになります。また勉強に頑張っているのに、記憶力がアップしないと、それもストレスになります。
さらに、睡眠不足によって免疫力が低下して、風邪などにかかってしまえば、勉強で集中力が発揮できず、よりいっそうのストレスがかかってしまうことでしょう。
そうならないためには、最低これだけは眠るという時間を決めておくとよいと思います。大脳生理学では、勉強したことを脳に定着させるための最低睡眠時間は、6時間であるといわれています。とりあえず6時間の睡眠を確保できさえすれば、勉強したことを記憶に留めやすくなるわけですね。
理想をいえば7時間や8時間と、たっぷり睡眠をとる方がいいに決まっています。ただ睡眠時間は人によって長さが異なるので、日中に眠気がない時間分だけを取るのが正解です。学校の授業や予備校の講義で、睡魔が襲ってくるということは、それは睡眠不足のシグナルですので、睡眠時間を増やす必要があります。
受験で睡眠時間が重要なことはわかったと思います。
だからといって睡眠薬はお勧めできません。つねに薬に頼っていると、脳細胞の死滅が加速されてしまうからです。ですから薬を使わない安眠法を実践しましょう!ただ、グリシンとかグッスミンといった睡眠導入薬は問題ないでしょう。ネギや納豆、肉類もおススメです。
またアルコールも、脳細胞をどんどん死滅させてしまいます。
それだけではありません。勉強をしたあとにお酒を飲むと、勉強したことが長期記憶に定着しづらくなることが分かっています。海馬でのLTP(長期増強)を抑制してしまうのです。ですから受験期間中はもちろん、受験前日も極力アルコールは控えたほうがいいでしょう。
それにアルコールで睡眠に入れたとしても、深い睡眠がとれないので、脳での記憶の整理に支障が出てきます。アルコールは入試に合格したあとの楽しみにする方が得策です。
アルコールや睡眠薬に頼らなくても、寝る時間と起きる時間を一定にするだけで、リズムが確立し、質の高い睡眠をとれるようになります。どんなに勉強を続けたくても、決めた就寝時間になったら、そこでピタッとストップすることです。
名残惜しいかもしれませんが、それこそが受験で睡眠時間を確保するために必要ポイントです。中途半端なところでやめることにはメリットもあります。それはツァイガルニック効果です。
ツァイガルニック効果とは、いい箇所で終わってしまうと、その先が気になるという心理効果です。ドラマは、いつもいいところで終わります。テレビ番組も、いい場面で中断するので、みんな見たくもないCMを観ることになります。視聴率アップには最適の方法といえるでしょう。
それと同じように、不本意な箇所で勉強を終えることによって、潜在意識下で、ずっと勉強したことを気にし続けます。これが無意識の反芻(復習)となり、学習効果を高め、記憶への定着を促進してくれます。
また「何時まで勉強して、それ以降は必ず寝る」と決めることによって、締め切り効果も期待できます。これは時間制限があったほうが、集中力が増して、勉強の内容が濃くなるという心理効果です。時間が無制限にあると考えるから、夜更かししてしまいます。
そうではなく、時間に限りがあると認識したほうが、かえって集中力がアップし、より多くのことを学べるわけですね。
以上のように、受験では十分な睡眠時間を心がけることによって、かえって2つの心理効果が働き、飛躍的に学習効率が上がるのです。勉強したことを無駄にしないためにも、受験期間中に健康を害さないためにも、ぜひ睡眠というものの大切さを再確認してくださいね。