大学受験生の勉強時間の平均は?
2013/11/10
しかし毎日の勉強時間を人と比較することは、まったく無意味です。
なぜなら人それぞれで、基礎力も偏差値も模試の判定結果も違いますし、理解力や記憶力、読解スピードも異なります。こう言ってはなんですが、現実問題としてIQ(知能指数)も人それぞれです。また、速読をマスターしている人なら、1日1時間や2時間でも志望大学に合格できるかもしれません。
いっぽう読むのが遅いとか、偏差値が低い人が、東大や京大、慶大、早大、一橋といった難関一流大学に合格しようと思えば、1日8時間から10時間くらいは確保しないといけないかもしれません。
このように、その人の脳力や、すでに身についている知識の量、記憶力、理解力を見ないで、単純に大学受験生の勉強時間を問題にしても仕方ありません。
また、どこからどこまでを学習時間とするのかで、かなり違ってきます。高校の授業を勉強時間に含める人はいないでしょうが、予備校の講義を含める人はいたりします。しかし予備校の講義を聴講しているときは、勉強時間に含めるべきではないと思います。
やはり自分ひとりで自宅学習している時間こそが、大学受験生の勉強時間に相当するのではないでしょうか。
大学受験生だからといって、大学入試には関係のない授業の勉強もしなければなりません。そういった科目の予習や復習の時間も必要でしょう。その場合は、試験に出ない教科につかった時間は、「受験の勉強時間」から省かななければなりません。
このように、あえて受験の勉強時間を算出する方法を考えてみましたが、考えるほどナンセンスだということがわかると思います。
けっきょく大学受験生の勉強時間が気になるというのは、ほかの人の目が気になるということです。世間がどうかではなく、自分自身として、どこまで頑張れるかが大切といえるわけですね。自分がライバルなのです。
つまり全体の平均時間を気にする必要はなく、自分で決めたら、その時間を貫けばよいのです。時間が明確なほうが習慣化しやすいですし、やる気にもつながっていきます。はじめは3時間で始めたけれど、やっていくうちに、もうちょっと増やそうと思えば4時間に増やせばいいし、多すぎたなと思えば、2時間などに少なく調整すればいいだけのことです。やる時間は自分が決めることであって、友達などの時間は参考にならない、ということですね。
受験勉強は量も大切ですが、質の方がもっと大切です。
極端にいえば、5時間や6時間、ずっとボーッとして机に向かっているだけで「勉強しているつもり」になっているのはナンセンスでしょう。やはり質が大事なわけです。
また、教科書や受験参考書から特定の記述を抜き出し、ノートに丸写しして、それで「勉強しているつもり」になる。これも勉強しているとはいえません。自己満足の範疇であり、ノートに写しただけでは、じっさいは記憶に定着していないからです。
大学受験生の勉強時間といっても、内容が濃いかどうか、質が高いかどうかを問うべきです。そのためには、3時間も4時間もだらだらと続けるのではなく、60分単位で区切ることがおすすめです。人間の集中力は、そんなに長く続くようにはできていないからです。
60分勉強したら、30分休憩し、また60分頑張る。
そのさい異なる科目を交互に行うようにすると、気分転換にもなりますし、記憶の干渉を防ぐこともできます。
大学受験生の勉強時間について、さらに言及すれば、睡眠時間を削ってまで学習することは避けなければならない、ということです。夜更かししたり、夜中に学習することは「やってるな」という気になるものですが、脳のほうは疲れ切っています。
睡眠物質がたまっている眠い状態では、記憶力も理解力も思考力も半減します。そのうえ睡眠時間が5時間とか4時間とかになれば、記憶の整理や定着の作業ができなくなります。
ご存じのように、睡眠中にこそ短期記憶は長期記憶になっていくからです。なので、あまり寝ない人は、せっかく勉強したことが身につかないということに。
睡眠時間は最低でも6時間とらないと、記憶の整理を妨げるといわれています。
そこから逆算すれば、大学受験生の勉強時間の最大は、どんなに多くても18時間です。
そこから食事や入浴、休憩の時間がまた引かれるわけです。
ただし前述したように勉強量が多くても、質が伴わないと、それは全く意味をなしません。まずは質を確保し、その状態で勉強時間をできるだけ伸ばしていくことが、”受験勉強の方法の正解”といえるでしょう。
【追記】今まで、あまり勉強してこなかった人が、いきなり4時間とか5時間勉強すると、長続きしません。その場合は、はじめは30分でもいいので机に向かう。そして少しずつ受験勉強の時間を増やしていくことがおすすめです。
これは大学入試だけではなく、高校受験生の勉強時間にも言えることです。勉強時間の平均値を気にするあまり、それに合わせようとして、無駄に時間だけが過ぎていく。それほどナンセンスなこともありません。自分との戦いが受験であり、人の目を気にしても仕方ないからです。
大学受験生の勉強時間といっても、高1と高2、高3では、それぞれ異なります。高1のころは、学校の授業の予習・復習に重点を置き、基礎力を付けることに注力します。特に過去問は、まだ解かなくてよいでしょう。ですから学習時間は必然的に少なめになります。しかし高2、とくに高3ともなれば、過去問を解いたり、模試の復習をしたりと、勉強時間が増えていきます。これは資格試験の学習でも同様です。
受験の勉強時間は、たとえば1日3時間は、かならずやる!と決める。その上で、もうちょっと頑張りたい場合は、延長してもいいというルールにしてはどうでしょうか。とにかく3時間と決めたら、意地でも3時間続けるのです。その間に、最大限の集中力で教科書を読んだり、過去の問題集を解けば、十分ではないでしょうか。ただし難しい問題にあたったりすると、時間が延びることがあります。そういったときは延ばせばいいのです。最低ラインを3時間と決めると述べましたが、人によっては6時間や7時間のこともあるでしょう。
なお記憶というものは、休んでいるあいだに整理・定着がなされます。睡眠もそうですね。起きているあいだも、休憩時間に記憶の整理がされます。時間がたつほど、思い出しやすくなる効果をレミニセンス現象といいます。ですから60分間、英単語の暗記に関する勉強したら、多めに休憩を取り、そのあとの60分間は、記憶学習ではなく、過去問を解いたり、論理的な思考を要する科目がいいかもしれません。記憶学習どうしを隣接させるより、間隔を空けたほうが「記憶の干渉」が防げるからです。記憶の干渉が起こってしまうと、前に学んだ内容が薄れ、あとから学んだ事柄も海馬の記憶に定着しづらくなるので注意しましょう。