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水の極性がなかったら

はじめに

突然ですが問題です!氷を水をはったコップにそっと入れた時、氷は浮くでしょうか?それとも沈むでしょうか?

正解は、、、  浮く!

おめでとうございます。おそらく多くの方が正解されたのではないでしょうか。もし氷が水に沈むなんてことがあったらタピオカミルクティーも飲みづらくてしょうがないですね。

しかしながら、この水や氷がもつ性質は他の物質と比べると多くの点で特異的であることがわかっています。この氷が水に浮くという性質もそのうちの一つです。では、ここから水がもつ性質と、その性質が変わったらというもしもの世界について考えていきましょう。

水分子の形と氷の性質

まずはじめに、水を細かく細かく小さく小さく分けて見ていきましょう。このとき、もうこれ以上分けられない最小単位を『分子』といいます。そしてその分子を構成しているものを『原子』といいます。

上の画像がその水分子のモデルです。Hは水素原子、Oは酸素原子を表します。まるで一本の棒が折れ曲がったような形をしていますね。水がこのような折れ線型をとるのには原子同士の結合に関わる電子が関係しています。結合に関与しなかった電子は非共有電子対と呼ばれ、分子の形を決定する一つの要因となります。また電子を含むこの分子構造から、水は極性をもつ物質として知られています。極性とは分子内における電気的な偏りのことで、水はこの極性が大きい物質として知られています。

また、水は他にも面白い性質を持っています。それはズバリ『水素結合』です。これは結合に関与する原子それぞれの電気陰性度(分子内の原子がどれだけ電子を惹きつけるか)の差が大きい原子どうしが結合するときに生じます。(水の場合は電気陰性度の小さい水素原子と電気陰性度の大きい酸素原子の結合によって水素結合が生じます。)

⇦マイナスの電荷を持つ電子が酸素原子側に引き寄せられているため、酸素原子がマイナスに偏り(δ−)、水素原子がプラスに偏っている(δ+)。

ここで補足です。分子の形によって、電気陰性度の大きな原子が含まれていても全体的な極性が0になる場合もあります。ここで挙げられる例として二酸化炭素があります。二酸化炭素は直線の構造を取っている(水のように中心原子に非共有電子対が存在しないため)ため、分子全体で極性を打ち消し合います。

⇦電子を引き合う力が打ち消し合う。

氷の構造

水は冷却して凍らせると体積が増えます。小学校の理科の授業で実験した方も多いのではないでしょうか。一見当たり前のようにも思えるこの現象ですが、実は他の物質と比べるとなかなか稀な性質なのです。(一般的には物質は液体から固体に状態変化すると体積は小さくなります。)水は固体に状態変化する際、折れ線型である水分子同士が水素結合を形成することによって下のような独特な結晶構造をとります。

⇦スカスカで密度が低い!だから水に浮く!!

美しいですね。氷は水分子がこのような空間の多い骨格を形成するため、液体の状態よりも密度が小さくなるのです。この結晶は水分子が①折線型をしている②水素結合を形成するという性質があるからこそ形成されるのです。

もしも極性がなかったら

では、ここで本題です。

もしもある日突然水分子が折れ線型ではなく直線になったら、つまり水の極性がなくなったら、どのようなことが起こるのでしょうか?
(「もしも水分子が非共有電子対を持たなかったら」という仮定のもと物理的観点から考察します。電子の数による原子自体の性質の変化は考えないことにします。)

先ほど示した構造の特性より、水は極性水素結合という2つの性質のうち片方でも失われたら、0℃という温度で氷が形成され始めることはなくなるでしょう。(無論℃(摂氏)は水の融点(氷が溶け始める温度)と沸点(水が沸騰する温度)によって定義づけられているのですが、ここでは水分子が極性を有していて且つ折線型である状態で定義された0℃(273K)を以下も用いることとします。)

氷の極性が失われて折線型を形成することがなくなったら、分子は美しい立体構造を形成することはなくなるため、物質の理論通りに密度は水よりも小さくなり、氷が水に浮かぶという現象はなくなるでしょう。コップに氷を浮かべることは愚か、北極に浮かぶ氷も海の底に沈んでしまうでしょう。海は真水に比べ、塩が溶けている分、多少モノを浮かべやすいのですが、、。それを差し引いても沈んでしまうのではないでしょうか。

また、分子の折線型構造が失われたら分子全体での電荷の偏りはなくなるため、水素結合も形成しなくなります。分子間で結合する力が弱くなり、融点が著しく下がってしまうと考えられます。融点が下がるということは凍り始める温度が低くなるということなので、水を冷やしてもなかなか凍りづらくなってしまいます。こうなってしまうと、今ある世界中の氷は一気に溶け出すことになってしまいますね。
(極性が失われたら電気的な偏りがなくなるため必然的に水素結合は失われますが、水素結合は電気陰性度に依存するため(水素結合を形成する物質は限定的)、水素結合を形成しないから極性を持たないということではない。)

ここで確認しておきたいのが、水の融点が下がることといくら冷やしても凍らなくなることは別であるということです。あくまでも世界中から氷が消滅するのではなく、マイナス数℃時点で氷だったものは溶けて水に変化してしまうのだということです。間違って解釈しないように気をつけましょう。(現時点の科学界では-273℃で物質の動きは全て停止すると考えられているため、これよりも低い温度は存在しないとされています。)

では世界中の氷が一斉に沈み、溶け始めたら何が起こるでしょうか。真っ先に考えられるのは海面の上昇です。北極の氷河に生息する動物は住処を失い、それと同時に陸地で生活する私たち人間をはじめとした動物も、押し寄せた海水によって行き場を失うでしょう。なんだか今世間で問題視されている地球温暖化問題を猛加速させたようですね。

 

さいごに

今回は『水』についてミクロの観点から様々な考察をしていきました。科学の世界で”もしも”について考えるのは難しいですね。考察の際に様々な条件を設けて考える環境を限定していかなくてはならない場合が多かったと思います。また、うるさいくらいにカッコ→()を用いた補足が多くなってしまいました。誰にでも分かりやすいように事柄を伝えることの大変さも感じました。
偉そうに記事を書いてしまいましたが、高校上がりたてホヤホヤの学生が書いているため表現が適切でない説明や考察もあると思います。この記事を読んで、もしかしたらこうかもしれない、こうだったらどうなるのだろう?という発見や疑問はあなた自身のものです。一人で考えても、人と意見交換をしても、とても有意義な時間となるでしょう。?ハテナ?は科学の根源であり、また科学を進歩させていく原動力であると私は考えます。そんな”科学の一歩”をこの記事を読んでいただいた皆さんと共に踏み出せたらこの上なく嬉しく思います。

 

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