試験編_第3章_敵襲
「ありがとうございました!」 伸一達最上級生の声は、声変わり前のキャンキャン声にかき消される。礼を重んじる道場の教えとは真逆の喧噪に思わず眉を顰めた。 下級生が去り古くなった板張りの床が軋む音が鳴り止むと、ようやく伸一の好きな静かな道場が戻ってくる。 […]
「ありがとうございました!」 伸一達最上級生の声は、声変わり前のキャンキャン声にかき消される。礼を重んじる道場の教えとは真逆の喧噪に思わず眉を顰めた。 下級生が去り古くなった板張りの床が軋む音が鳴り止むと、ようやく伸一の好きな静かな道場が戻ってくる。 […]
まるでさっきまでと違う世界に来たみたいだ。 寒くもないのに体が震える。 面白い。これが武者震いというやつか。 今日の目的は洞窟の奥に住む一つ目の魔物キマツを討伐し、ツノを持ち帰ること。 道場の昇段試験としては珍しい大物に胸が踊る。 &n […]
この扉の向こうに、魔王ジュケーンがいる。 心臓の音が大きくなり、他の音が消えていくのを感じた。 剣に結びつけられたお守りが小さく揺れる。 「顔を上げろ。ゴウカク。」 師匠の言葉にハッとする。 「大丈夫だ。魔王配下のキマツもモシも倒してきたじゃないか。 […]