私は人間ですか

「ロボットと人間の違いってなんだろう」

どういった場面だったかは忘れましたが,昔このようなテーマで誰かと意見を交わしたことを覚えている。

それを構成する物質,何かものを考える能力,食事をする,いつか死が訪れるということ…

ああそうだそうに違いない。一見どれもピンとくる。しかしよく考えてみよう。

機械を構成する部品が壊れて行動不能になる,内部の回線が古くなって修理の仕様が無くなる。これらはロボットにとっての”死”といえるだろう。タンパク質で構成されるロボットが開発されてもいい。自ら生殖活動をするロボットが生まれてもいい。他はかの有名な猫型ロボットがその反例を示してくれる。

人間を人間たらしめるモノはなんだろう。

ロボット工学の研究家,石黒浩さんはこう言った。

「あとは脳を置き換えるかどうかだ。」

現代において,義手や義足,人工心臓などは全世界で有用されている。もちろんそれを使っているからあの人は人間ではないなどいう人もいないだろう。人工物が体の”一部”でなくてもそうだ。漫画・鋼の錬金術師の登場人物アルフォンス-エルリックでさえ読者は彼を人間と言う。

”脳”とは私たち人間,いや大部分の生物の司令塔となる器官。ものを認識し,判断する,ものを感じ,考える能力を司る器官。この脳がその人間の人間性やそれ自体を示すのだと私たちは信じる。そう信じたい。

しかし,人工知能が発達した今,ロボットを今まで通りロボットとして認識していられるだろうか。私たちは普通にSiriと会話できる。ある程度の齟齬や時間のラグ,イントネーションに目を瞑ればの話だが,それもいずれ改善されていくだろう。そうなったらいよいよ見分けがつかない。

ここでいつか(倫理的な問題は別として),人間にそっくりのアンドロイドが街を歩く時代になったら,人間の脳を人工知能に置き換える時代になったら。肌の色,信仰する神,性これまで様々な差別を重ね,今はそれを絶対的な悪とする風潮だ。私たちはこれらを拒絶することは許されないだろう。それらも一部の”個性”として受け入れ,共存するほか道はない。

これではいつか隣人の脳が人工知能であったとしてもわからなくなってしまう。もしかしたら自分も気づいていないだけでもうすでに置き換えられているかもしれない。

 

 

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