泉編_第3章_期末テスト

 「今日部活ないから帰り道なんか食べに行こうぜ!」

伸一はいつも食べ物とバスケの事しか考えていない。食欲旺盛なバスケバカである。

「伸一、部活が無いのは期末テスト一週間前だからだよ?勉強しなきゃ。」

絵馬が言う。絵馬は成績優秀で特に歴史についての知識量は誰にも負けない。絵馬の言う通り、私たちは期末テストに向けて勉強しなくてはいけない時期なのだ。伸一は、

「テスト勉強なんて、前日に一夜漬けすればどうにかなるでしょ!」

とテストのたびに言う。そして毎回悲惨な点数をたたき出すのだ。一夜漬け勉強が向いている人もいれば向いていない人もいる。伸一は絶対に一夜漬けじゃないほうが良いと思う。でもそのことを本人に言うつもりは全くない。なぜなら、伸一は勉強に関することは全くできないが、スポーツに関しては誰よりも運動神経がある。私はそんな伸一をライバル視しているのである。スポーツでは空手しか勝つことが出来ないけど、テストの点数では負けたくない。だから伸一にテスト勉強のアドバイスなんか絶対にしたくないのである。

 そして、それぞれの勉強法で挑んだ期末試験が返ってきた。

「泉は点数どんな感じだった?」

絵馬に聞かれる。私はすべての教科が平均点を超えているが、とびぬけて点数が良い教科は無いという結果だった。毎回こんな感じだが、成績が悪いわけではないので満足している。

「絵馬はどうだった?」

結果はわかり切っているけれど聞いてみる。

「えっと、一応全部いい点とれたよ。勉強した甲斐があった~。」

小さな声で絵馬が言う。絵馬の答案用紙を見ると、全教科クラストップだった。もちろん日本史は100点満点。恥ずかしがることじゃないのに。こういう絵馬の穏やかで謙虚な性格も尊敬してしまう。クラスの隅に、切り干し大根みたいに干からびた顔をした伸一がいた。きっと点数が悪かったのであろう。

「伸一、どうしたの?そんなに悪かったの?」

絵馬が聞く。

「全教科、赤点だった・・・」

伸一の声は震えていた。ここまでの点数を取ってしまったら相当落ち込むのだろうな、と思ったその時、伸一がこう言った。

「俺、どん底から這い上がってみるよ。絶対東大に行く!今回のテストでやる気に火が付いたみたいだ!」

え?東大?やる気に火が付いた?伸一は何を言っているのだろう。

「絶対に無理だよ!」

と咄嗟に言ってしまった。この言葉は私が一番嫌いな言葉なのに。しかし、新しい夢を見つけた伸一の眼はキラキラしていて、そんなことは一切気にも留めていないようだった。

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生徒の学習状況を把握しながら進める「双方向型」の授業スタイルです。授業内容を一方的に伝える受け身の授業は、理解度やスピードの点から考えても能動的授業に劣ります。出来るところはどんどん先に進み、分からないところは質問をして解決する。対面授業でもオンライン授業でも、生徒の顔や様子、学習状況を把握しながら授業を進めていきます。勉強本来の楽しさを伝え、自ら進んで勉強することを可能にしてしまうのが、ジークです。
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