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試験編_第1章_始まりの剣

この扉の向こうに、魔王ジュケーンがいる。

心臓の音が大きくなり、他の音が消えていくのを感じた。

剣に結びつけられたお守りが小さく揺れる。

「顔を上げろ。ゴウカク。」

師匠の言葉にハッとする。

「大丈夫だ。魔王配下のキマツもモシも倒してきたじゃないか。お前なら勝てるよ。」

「…うん。行ってくる。」

寸刻扉を見つめた後、扉に当てた両手にゆっくりと体重をかけた。錆びた蝶番が鈍い音を立てて回る。

視線の先には、魔王ジュケーンが玉座についていた。

「よく来たな勇者よ。しかしモシごときに苦戦したお前に何ができるというのだ。」

「あの時とは違う!今なら、お前にだって勝てる!」

魔王ジュケーンは余裕の笑みで右手から数学を放った。

ゴウカクの剣が数学を切り裂く。

「前と違うのは嘘ではないようだ。しかし進化したのはお前だけではない!」

魔王の両手が光った。今度は英語リスニングと英語ライティングが同時に迫り来る。

「そのくらい予測済みだ!長文が多いことも!」

切り裂かれた二つの光弾は爆音とともに激しく光る。

ジュケーンの頬に冷や汗が流れた。

ありったけの科目を連続で放つも、ゴウカクは止まらない。

「終わりだ!ジュケーーン!!」

ゴウカクの剣が魔王ジュケーンを切り裂いた。

魔王の体が光となり、指先から消えていく。

「まさかお前の偏差値がここまで上がっていようとは…」

「ずっと、お前に勝ちたかったから。」

「私が消えても、魔王ジュケーンは必ず復活する。お前の努力など自己満足に過ぎない。」

「そうかもな。」

ゴウカクは踵を返し、魔王城を後にした。

「おめでとう!」

村に帰ると、みんなが笑顔で祝福してくれた。家族も、師匠も。ああ、とっくの昔に、この戦いは自分だけのものではなかったんだ。

「お、おめでとう、ございます…」

少年がおずおずと前に出てきて言った。

「君、名前は?」

「伸一…」

「そうか伸一。次は、君の番かもな。」

ゴウカクが伸一の頭を撫でる。

伸一は、小さく笑った。

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