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絵馬編_第2章_空気

いつもより長く感じる通学路を終え、教室に向かう。教室のドアを開けると一人の女の子が駆け寄ってきた。

「絵馬!おはよう!助けて!」

この子は友達の彩佳。勉強よりスポーツのほうが得意な彩佳はテストの日はいつもこんな感じだ。

「しょうがないなぁ。何の教科?」

「ありがとう女神様~。社会を教えてほしい!絵馬のすごく当たるから!」

私は彩佳のために毎回テストで出そうなポイントを教えてあげている。特に社会は的中率が高く、
社会の先生に当てすぎないでくれと懇願された事もあるくらいだ。

教科書を見せながら一つ一つ丁寧に説明していると、不意に彩佳が口を開く。

「ねぇ、絵馬ってどうしてそんなに社会が得意なの?」

予想していなかった質問に私は思わず言葉に詰まってしまう。

社会が得意になったのは、私の趣味に関係している。

私の趣味とは「寺社・仏閣巡り」だ。
きっかけは小学生の時に家族と訪れた京都で、多くの美しい建造物に出会ったことである。
長い歴史を感じさせ、悠然と構えるお堂や時が経ってもその鮮やかさを失わない朱色の鳥居、
その場独特の神秘的な空気に私はすっかり心を奪われてしまったのである。

休日になると、事前に調べておいた寺社・仏閣に向かい、その場所特有の神聖な空気や建物に施された
細やかな装飾を楽しんだ。何度も楽しんでいる内に、見るだけでは物足りなくなり、
その建物が建設された背景や歴史についても学ぶようになっていった。
そこから、歴史という分野に関わりの深い「社会」にも興味を持つようになった。

しかし、私の周りでは寺社・仏閣を見に行くよりも渋谷・原宿に行くことの方が流行っていたし、
写真の被写体は神社ではなく自分達自身だ。
そんな中で波風を立てずうまく過ごしていくためにはこんな趣味があることは周りには言えない。

もちろん、自分の趣味を分かってくれる子と一緒に居れば良いじゃないかと思う人も居るだろう。
しかし、学校という限られた範囲でピッタリ気の合う友達を見つけることは時に難しいことであると私は思う。
また、中学校という教育機関は私たちに生徒同士の「繋がり」を求める。
まるでそれが当たり前だと言わんばかりに。
そんな集団の一人として生きる私はまるで空気のように集団によって姿や形を変え、その場の雰囲気に合わせた行動を取る。

それが一番うまく生きる方法であると知っているから。

空気は吸うものじゃない、よむものだと知っているから。

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受験の目標は、もちろん合格です。ですが、受験を通じて得られるものは志望校の学生証だけではありません。「やればできる」その自信こそが受験で得られる最高の宝です。「やらなくてもできる」「なんとかなる」そういった過信を捨て、「やればできる」「なんとかする」そういった自信を持つ。どんな困難にも前向きに取り組む事が出来る本当の意味での強い人になってほしいと、SIEGは願っています。

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