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泉編_第2章_絵馬との出会い

小さい頃から空手三昧だった私は、親友と呼べる友達がいなかった。学校帰りは寄り道せずに道場へ帰り、休みの日もずっと空手の稽古をしていたのだ。

高校二年の春、新しいクラスになったときに私は絵馬と出会った。絵馬の第一印象はおっとりした不思議ちゃんというイメージだった。寺社仏閣巡りが好きという変わった趣味があるため、趣味について語れる友達はいないようだった。

二年になって初めてのテストで私は全教科90点以上をとった。みんなに自慢したい!!でも自慢なんかしたら、嫌われるかな、と思っていたその時、後ろから声がした。

「わあ、全部90点以上だ!泉ちゃんって空手もできるし勉強もできるし、尊敬しちゃう。」

絵馬だ。私が一番欲しかった言葉を言ってくれたのでなんだか泣きそうになってしまった。

「嬉しい、ありがとう!これからもっと勉強していい点とれるように頑張らなきゃ。」

もっともっと空手も勉強も頑張ろうと思ったその時、

「泉ちゃん、頑張らないってことも大事なんだよ。息抜き?っていうのかな、毎日頑張っているといつか心も体も壊れちゃうよ。」

と絵馬が言った。ドキッとした。実際、私はここ最近徹夜で勉強していたため、寝不足と頭痛が酷かったのである。

「頑張らないことが良い結果を生む場合もあるのよ。私も、自分の趣味を周りに理解してもらおうと頑張るのをやめて、自分の好きなことを思いっきり楽しむようにしたの。そうしたらなんだか心が軽くなって、前よりも趣味に費やす時間が有意義に思えるようになったの。」

絵馬は、おっとりとした不思議ちゃんではなくて、時間を有効に使い自分なりの生活を楽しんでいる子だった。絵馬がくれた言葉のおかげで、勉強と空手の両立には息抜きも必要だということに気づくことができた。努力すればするほど力になるわけではない。努力と息抜きのバランスが大切なんだ。

それから絵馬と私は仲を深めていき、今では親友と呼べる大切な存在になった。それからいつも私の心を救ってくれるのは絵馬だった。

 

出会った頃のことを思い出していると懐かしくなってきて、隣にいる絵馬に

「いつもありがとう。」

と言った。絵馬は、

「突然どうしたの~こちらこそだよ。」

と、いつも通りの優しい口調で答えた。

「あなたに助けられたんだよ。」とは恥ずかしくて流石に言えなかった。

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